2025年6月16日月曜日

減税も可能、現役世帯が苦しんでいる場合には、しっかりお金を出すことも可能だ、と

 


この動画では、クレディ・アグリコル証券のチーフエコノミストである会田卓司氏が、日本の年金制度における主な誤解について解説しています。

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うんはい、賦課方式というのは、支給に必要な財源をその時点の収入で賄うという方式なので、あの基金が巨大になるという方式ではないわけです。

大体、その基金というのは、その年に支払う額くらい、その年に支払う年金の給料の大体1倍、同じくらいの額があれば支払いが滞らないので、そのくらいの基金というのが普通だということです。

しかし日本の場合には、過去に相当人口動態が良かった時期があります。年金制度が1961年に国民年金制度として始まりましたけれども、当時はまだ戦後からそれほど時間が経たず、高齢者が少なく、働く人、現役世代が相当多い「人口ボーナス」と言われる状況の中で、収入が支出を大きく上回る時期が相当長期に続いたということです。

もう1つは、高度成長期がありましたから、日本の成長が相当80年代まで大きく、それが当然、厚生年金は給料と連動しているので、基金の積み上がりというところに繋がってきたんだと思います。

その後の基金はGPIFとも含めて運用されてきましたので、その運用が積み重なりまして、今国民年金の基金は大体その毎年の支出の4倍になっています。そして、厚生年金は5倍になっています。

相当大きく積み上がっているので、これは相当豊かな資金になっているということになります。

基金は余剰金・・・とりすぎじゃないの? 

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あの資金っていうのはあくまでも余剰基金です。余剰基金であるという解釈というのは、賦課方式ではその年の支出をその時の収入で賄うので、将来に向けた公的年金の負債を支払わなきゃいけないという義務を伴う負債は存在しないということです。


で、実際に日銀資金循環統計など、ある意味でグローバルに基準を同じくした統計では、国の負債側に公的年金預かり金というのは入っていないということですね。

誰かに対する負債ではないから、どう使おうと勝手。

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厚生年金の積み立て金、社会保障基金の中の積み立て金とありますが、これを国民年金側にちょっと流用していこうという動きがあります。これ、年金の中だけだから見にくいんですけれども、これが積み立て制度ではない理由です。


さらに、厚生年金の基金を国民年金に持っていくこともあるかもしれません。将来的には高齢化がもっと厳しくなれば、医療とか介護にも使っていくかもしれません。


そして、これは余剰基金で、負債側に紐づけられていない。はい、賦課方式なので、法律を少し変えればこれは決して難しくはないということです

医療や介護に使われることも考えられる。 

18:38

社会保障基金の残高っていうのは実際どれぐらいあるんですか。社会保険料の引き下げは実際可能なのか?


これ、GDP比で60%、今300兆ぐらいですね。300兆もあるんですね、はい。それで、300兆円ですね。それでいわゆる、将来の年金財政が不安だっていう話になるわけですよね。その資産の根拠が、いわゆる実質の経済成長率が0ということです。いや、ちょっと信じられないというか、これで国民負担率が上がってますもんね、今実際。


はいはい、いや、これが報道されないわけですよね。

たんまり余剰金があるわけだね。

29:20

政府の支出というのは2つのものに分けられるということです。1つは、社会保障などの法律で支出が義務づけられている「義務的支出」というもの。それでもう1つは、公務員給与ですとか防衛費など、予算で伸び縮みができる「裁量的支出」に分けられるということです。

社会保障の支出は法律で支出が義務付けられていますから、社会保険料なり税収なり、この財源を紐付けるということは、世界でも行われています。

つまり、財源で紐付けなきゃいけない、財源でカバーしなきゃいけないのは、この「義務的支出」の部分だということです。そして、その義務的支出が税収と税外収入で賄えるのかというところですが、ご覧いただくと、当然税収・税外収入の方が圧倒的にずっと上にいるので、問題はないということです。

よく言われる、「消費税を減税したり何か支出を増やすと、社会保障費を減らさなきゃいけない」という関係には全くないわけです。社会保障費は義務的支出の中に入っていますし、これは税収・税外収入でちゃんとカバーされているので問題がないのです。

ただ、裁量的支出と税収の関係は景気の度合いによって多くなったり小さくなったり変わってきます。これがいわゆる「財政の景気自動安定化装置」というものです。

社会保障などの支出に関しては、「財源はどうするのか?」という議論があるべきですが、裁量的支出に関しては、税収が財源ではないということです。裁量的支出を伸ばしたり減らしたりする場合、それに対応して財源を確保する必要はありません。

では、それをやるべきか、やるべきではないかの判断は、それによって景気や物価に悪影響を及ぼすのであれば「やるべきではない」ということが判断材料となります。ここが1つ大きな誤解になっているところではないかと思います。

例えば、今行われている公務員給与の引き上げがその1つの例です。誰も財源の話をしません。これは裁量的支出だからです。同様に、海外支援にお金を使うという時も「財源がどうだ」という議論は出てきません。それも裁量的支出だからです。


つまり、政府はきちんと裁量的支出か義務的支出かを、支出の種類として分けていますが、それを都合よく解釈していることが問題になっているということです。


公務員給与の引き上げには財源との紐づけはない、と。


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私がよくずっと攻撃してるのが、60年召還ルールおかしいだろうという国債費の中の償還費ですね。償還費は日本には入っていますが、アメリカには入っていません。国債召還ルールというのが、実は細かいルールではないと財務省も認めていて、何の役にも立たない努力、いわゆる見かけだけのものなんです。しかし、見かけ上のものでも存在するので、全く意味もなくここに債務償還費を乗っけてるのは不要です。

あともう1つおかしいのは、この利払費のところをご覧いただくと、日本の場合「利払費」と書いてありますが、アメリカの場合「純利払費」と書いてあります。これは少し違いますね。利払いについては、国家も金融資産を持っているので、払う利子だけでなく受け取る利子もあります。そのため、受け取る利子を相殺して「純利払費」にするのが普通のやり方です。しかし、日本は払う方ばかりを乗せています。

その結果として、この利払費がどんどん膨らんでいくというロジックに使われやすくなってしまうわけです。ただし、両建てであれば、その伸びは支払う金額も利息も増えますが、同時に受け取る利息も増えるので、純利払費の増加ペースは金利の増加に対して小さくなります。

ですから、現在のように日銀が利上げしている時に「利払いが大きくなる」と言って、払う方ばかり見ていますが、普通は純利払で見るべきだということです。
利払い費は問題なし。

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1つ言えることは、この右側に「政府の金融負債」というものがあります。この1400兆円、ここだけ注目されて「政府はこれだけ借金を抱えているので、もう火の車だ」という誤解が生まれています。ただ、これには年金も含めて、政府は巨額の金融資産を約868兆円保有しています。

結果として、このネットの部分、つまり「純債務」は、GDP比で約116%、つまりGDPに対して116%程度であるということです。実はこれ、アメリカとあまり変わりません。ですから、日本だけが突出して財政状況が悪いとか、年金財政も含めて「火の車だ」という認識は誤解だということです。

もう1つ大事なのが、「企業を除く株式」という部分です。株式は自己資本ですから債務ではありません。この部分を除くと、企業がどれだけの純債務を持っているのかがわかります。企業は通常、借金を債務として抱えながら事業を行い収益を上げるため、企業貯蓄率はマイナスになり、純債務を持つのが普通の経済状況です。

実際、アメリカはGDP比で約2倍、ユーロ圏でも約63%の純債務を持っています。しかし、日本をご覧ください。純債務がほぼなくなっています。つまり、日本企業はフロー貯蓄をしているだけでなく、負債を解消し終えています。

これはつまり、企業全体を集めてみると、当然負債がある企業もない企業も含まれますが、企業部門全体では純債務が存在しないという状況になっているわけです。

ここで問題となるのが、「政府の赤字や負債が大きい」、「日銀が利上げすると金利が急上昇するから心配だ」という誤解です。しかし、金利というのは日銀だけで決まるわけでもなく、政府の動きだけで決まるわけでもありません。民間企業がどれだけ負債を抱えているか、またどれだけ借り入れをしたいかによって金利の動きが変わるわけです。

政府と企業の動きを合計すると、この「一般政府」と「企業を除く株式」を足した部分が、右側の図になります。この合計で日本は-101です。アメリカは-314、ユーロ圏は-121です。つまり、日本が最も小さいわけです。

これが、日本の金利が上がりにくい理由です。金利に影響を与える負債構造において、企業と政府の行動を合わせて見た時、実は日本のネット債務残高が最も小さい。

純債務も問題なし。 

*アクアくんによる解説ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 なぜ金利が上がりにくいのか?

ネット債務が小さい: 日本の「一般政府と企業を除く株式」を合計したネット債務が、他国と比較して非常に小さいです(日本は-101、アメリカは-314、ユーロ圏は-121)。このようにネット債務が小さい場合、政府や企業が市場から資金を調達する圧力が低くなるため、金利が急上昇しにくいのです。


企業の健全な負債管理: 日本の民間企業全体として、純債務(資産から負債を引いたもの)がほぼない状態です。つまり、企業が借金をあまりしていないので、市場に負債の圧力をかけにくく、結果として金利が安定しやすいということです。


需要と供給のバランス: 金利は市場での資金の需給によって決まります。日本のように政府や企業が資金を大量に借りない場合、資金の需要が比較的低いため、金利が上がりにくい状況になります。


これに対し、アメリカやユーロ圏はネット債務が日本よりも大きく、その分資金の需要が高く、金利が上がりやすい構造にあると言えます。

(以下続き)^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
なるほど、金利の上がらない理由はこれか。
ただし、この右下の1400兆円だけを強調すると、「日本の財政は大変だ」となりがちです。本当は、「一般政府+企業」という部分を含めて、日本の債務構造が安定しているかどうかを見るべきです。

つまり、政府や民間企業も、もっと債務を抱えて財政出動する余地があるということです。ですから、年金の動きや財政検証、資金循環統計を見た時、日本の負債構造において政府はもっと支出を増やし、現役世帯が苦しんでいる場合には、しっかりお金を出すことが可能だと言えます
だよなああ。




 

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